変拍子について
はじめに
DTM課2回生のもやしです。
アドベントカレンダー企画のひとつとして、今回はリズムおよび変拍子についての記事を書きました。
拍子分解やポリリズム、メトリックモジュレーションについてまとめたので、よければ読んでいただけると幸いです。
拍子の分解
変拍子(「通常使われない拍子」と「曲中で拍子が変わること」の2つの意があります。今回は双方の例があります)には、5拍子、7拍子といったものがあります。そしてそれらはほとんど、さらに細かく分けることで2拍子と3拍子の組み合わせとして捉えることができます。
5拍子の例
こちらの曲の2分30秒あたりより、5拍子が使われています。リズムの分解を見てみましょう。
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2行目は1行目の繰り返しです。楽譜の上段を見てもらえれば分かるように、メロディが付点八分音符と通常の八分音符で構成されています。言い換えれば十六分音符3つと十六分音符2つで構成されています。
7拍子の例
こちらの最序盤およびAメロには7拍子と4拍子が交互に使われています。ヨルシカおよびn-buna(コンポーザー)としてはかなり特殊で珍しい拍子の使い方です。これもリズムの分解を見てみましょう。
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この曲も、付点八分音符と通常の八分音符で、すなわち十六分音符3つと十六分音符2つで構成されています。
これらの例からわかるように、変拍子(とくに拍子の分母が8であるもの)は十六分音符3つと十六分音符2つを単位としてリズムを分解できます。翻せば、あらゆる拍子は十六分音符3つと十六分音符2つを組み合わせることで構築が可能です。
なのでこんなことも…
応用例
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8分の17拍子。3+2+2+3+2+3+2で分解しています。
ポリリズム
通常の4拍子でも、ポリリズムを用いることで複雑化が可能です。ポリリズムとは複数の異なるリズムを持った声部(楽器)が同時に演奏されることです。例えばこんな曲が。
序盤から濃くポリリズムが強調されているこの曲。序盤はこのようになっています。
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いったん記譜法を無視して、もう少し分かりやすい表記にしてみましょう。
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小節を跨いだせいで真ん中が妙ですが、このように「タンタタン」というリズムを6回繰り返したものになっています。
ポリリズムを用いることで、緊張感や民族調性、ある種の強引さを表現することができます。例えばこの曲は4拍子ですから、四分音符を刻みながらこの「タンタタン」を繰り返すことによってテンポを感じたままポリリズムを示すことができます。
メトリックモジュレーション
拍子を替えずにリズムを複雑化させる他の方法のひとつに、メトリックモジュレーションがあります。メトリックモジュレーションは元の楽曲のテンポを変えることなく、別のテンポへ切り替わったように聴かせる、あるいは前後のテンポに関連性を持たせた上でテンポ・チェンジすることを指します。文面だけ見るとポリリズムと似ていますが、ポリリズムはリズムの変性を示すのに対し、メトリックモジュレーションはあくまで通常のリズムを変化させるものです。
例えばこんな感じ…
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楽譜だと分かりにくいですが、最初の二小節と同じ8ビートを、最後の二小節にてまた刻んでいます。この例はかなり稀有、というかモデル化したような例ですが、フィルイン等の短いアクセントにて使うと非常に特徴的です。疑似的なテンポ変化により、強く聴衆を引き付けることができます。余談ですが、ポリリズムもメトリックモジュレーションもパーカッションの特徴的な演奏技法のひとつでありつつ実際に演るのはめちゃめちゃ難しいです。少し前に流行ったポリリリリズムが良い例でしょう。
おわりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。短い記事ですが、お役に立てれば幸いです。