立命館大学情報理工学部プロジェクト団体 ゲーム&CG部門 RiG++

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どうも、くラゲです。

なんとなく、アドカレに参加したものの何を書こうかと悩みました。

いっそ、アニメの布教でもしようかと思ったのですが……。

(↑イチオシ 1998年としてはめずらしいCGを多用しており、テーマは現実と虚構。ワイヤードと呼ばれるネット空間と現実が錯綜する描写がたまらない。後半、哲学要素が入ってくる。OPがすごい)

(↑冬&百合 とにかく百合。この2人が百合なのはもちろんだが、後輩や妹も出てくる。もちろん百合。高校生の将来についての不安を描いており、それに悩む2人がたまらない)

(↑OVAは見るな 不条理な事件に巻き込まれる4人の女の子たちの話。最初、仲が悪かった女の子たちが手を取り合って協力するようになるのが素敵。最後に百合っぽいシーンがあるが期待するほどでもない……。OVAは別アニメとしてみよう)

もっと、アニメの布教をしたいのですが(シムーン、ラーゼフォン、灰羽連盟、リトルウィッチアカデミア、宝石の国……)、このへんにしておきます。

さて本題ですが、シナリオ課(なのか?)として1本、話を書いてみました。

テーマは『クリスマス』。2人の女の子の話です。

あんまり力をいれて書いてないので、気軽に見てください。

(2D課の人、絵とか描いてくれないかな~~)

【郵便屋と考古学者】

ここニューサンドリアにも寒い冬がやってきて、街のビル群の間からはしんしんと雪が降ってきている。時刻は夕方だが、雪のせいで暗い。そんな中に機械箒に乗って風を切っている赤髪が一人。彼女の名前はエイリル。この田舎町の郵便屋だ。

「どうしてこの時期は無駄に配達物が増えるのか……」

エイリルは自身の後ろに乗せている配達物の沢山入った白い大きな袋を恨めし気に睨みながらつぶやく。この街には自動配達用のドローンなど1台もなく、いまだ配達物はエイリルのような人間の郵便屋によって配達されているのだ。この街は建物や整備、そして人々の考えさえも古く、そのせいもあって『手紙』なんていう超古代的な文化もいまだ廃れていなくて盛んにやり取りされている。そのおかげで郵便屋も繁盛しているわけだが、こんな冬の寒い時期に配達する身としては勘弁してほしいようで、エイリルは時折り手をすり合わせたり、ポケットに手を入れたりしている。

エイリルはある古いバロック建築調のビルのとある部屋の前にホバリングをすると、その窓を3回叩いた。

「おーい、シーラ。私だ。エイリルだ。開けてくれ」

窓の近くには何か緑の植物で作られた輪が飾られていて、それをエイリルは不思議そうに見つめていたが窓が開けられると外の寒さに耐えきれずに家の中に入り、窓の近くに靴と機械箒を置いてすぐさま疑似暖炉の前に陣取った。

その様子にシーラは少し笑うとエイリルに温かいホットチョコレートを差し出す。

「どうやら外は死ぬほど寒いようだね」

シーラは暖炉の近くのソファに腰を掛けるとエイリルを面白そうに見た。

「死ぬほどなんてもんじゃないよ。私は3回ぐらい死んだよ」

エイリルは震えながら、カップの中のホットチョコレートを飲んだ。

エイリルの言葉を軽く笑うとシーラも自身のカップに入っているホットチョコレートを飲む。

「どうだい?それ。おいしいかい?」

「ああ、もちろん。甘くておいしいし、体も温まるよ。ブランデーが入っているとなおのこと良かったけど……」

ちらりとエイリルがシーラを見ると、呆れたような眼差しをしていた。

「冗談だよ」

ホットチョコレートを飲み干すと、エイリルはストーブの前から離れてシーラの前のソファに腰を掛けた。

「それで、今日は何の催しだい?プレゼントなんかも準備させてさ」

エイリルはついこの間、シーラに今日という日にプレゼントを用意して夜にやってくるように言われたのだ。

「ああ、すまないね。仕事は大丈夫なのかい?」

「なに、この街の郵便なんて速さはあてにされてないし、大丈夫だろうさ。私もこの寒さの中飛び回るのは嫌になってきたところだったし、ちょうどよかったよ」

「そうか……。それは良かったのかな?まあ、良かったってことにしよう。なんたって今日じゃなきゃ意味がないからね」

「その理由は?」

シーラは再びホットチョコレートに口をつけると少しだけ飲んだ。

「今日はなんたって、サンドリア156年23月78日。地球歴で言えば4039年12月24日でちょうどクリスマスイブだ」

「また『地球』の話かい?それでで、その『クリスマスイブ』っていうのは?」

その言葉を待ってましたと言わんばかりにシーラはほくそ笑むと、テーブルの上に置かれていた装飾のされた大きな本を開く。中には絵が描かれており、どうやら子供向けの絵本のようだった。

「クリスマスイブとは、クリスマスの前夜のことを指す。そしてクリスマスとはキリスト教におけるキリストの降誕を祝う祭りとここには書かれている」

「キリスト教?」

聞きなれない言葉に疑問を示すエイリル。

「まあ、神様を敬う祭りだね。どうやら昔の地球では宗教のアクティブユーザーが多くて、このような祭りは毎年そこらじゅうで行われていたらしい」

「それが、私たちと何か関係あるのかい?」

「まあ、ないね」

拍子抜けするエイリルだったが、シーラは気にせず続ける。

「その当時の地球でも熱心な宗教のプレイヤーはいなかったらしく、この祭りは主に恋人たちが一緒に過ごすイベントになっていたらしい」

「ますます関係ないじゃないか」

エイリルはため息を吐いた。エイリルとシーラはどちらも少女と呼ばれるような年齢ではなく、恋人がいても不思議ではない年齢であったが、エイリルは出会いがなく、シーラに至っては興味がないようで二人とも恋人はいない。

「後は、仲間とその恋人たちへの嫉妬を語り合う日でもあったらしい」

「君はそのためだけに私を呼んだのか……。そうなら私は帰るぞ」

そう言いながらもエイリルは外の寒さをもう一度味わうことはしたくなく、この友人に形だけの反抗を示した。

シーラもそんなエイリルのことを分かっており、目を意地悪そうに細めるとゆっくりと口を開く。

「……あとは仲間への感謝だね」

シーラはエイリルを楽しそうにじっと見つめた。

「君はいつも……そうやって……」

エイリルは呆れながらもその言動に親しみを抱いて笑みをこぼしてしまう。

「ホットチョコレートのおかわりはいるかい?」

「ああ。頼むよ」

シーラが席を立っている間、エイリルはテーブルの上の大きな本をパラパラと見ていた。エイリルにはその文字は分からなかったが絵からなんとなく物語が予想すると、それは貧乏な少年が神様へお祈りを欠かさずに行っていたらクリスマスに豪華な食べ物と金貨をもらえたという話らしかった。

「どうだい。その話は?」

シーラが戻ってくるとその手には追加のホットチョコレートと棒状のお菓子のようなものが乗った皿があり、甘い匂いを部屋に充満させている。

「何というか『作られた話』だね。それは?」

「はは、君らしいね。これかい?これは『チュロス』という地球で食べられていたお菓子だよ。古い文献を見ながら作ったんだ。おいしくできたと思う」

テーブルにチュロスが乗った皿を乗せて、エイリルに追加のホットチョコレートを手渡すと再びソファに腰を掛ける。

エイリルがホットチョコレートを口に含む。部屋の疑似暖炉はその画面に薪が燃える映像を映し出し、パチパチという音を出している。エイリルは「いったい何が燃えているんだろう」と思いながらそれを見た。その炎は赤く、エイリルの心を何故か落ち着かせた。

ホットチョコレートを堪能したエイリルはおずおずとそのチュロスなるものに手を伸ばす。表面には砂糖と何か独特な香りのする粉が振りかけてあり、形はでこぼこしている。

意を決してそれを齧るともちもちとした食感で、咥内には砂糖の甘みと独特な良い香りが広がった。

エイリルは体験したことのない食感と香り、そして砂糖の甘さを楽しんだ。

「これは、おいしいな」

「そうだろう?」

エイリルの様子を見てシーラはたまらず目を細める。

「その独特な香りのする粉はシナモンというんだ。実はそれは木の皮から出来ているんだよ」

「木の皮!?」

驚いたエイリルはけほけほと少しむせてしまった。

「心配しなくても地球ではよく摂取されていたそうだよ。地球人は面白いものを食べていたんだね」

「さすが超古代文明……」

涙目でホットチョコレートを飲むエイリル。

エイリルが落ち着くのを見計らって、シーラが口を開く。

「じゃあ、プレゼントの交換とでもいこうか」

「それなんだが……」

バツが悪そうな顔をして、エイリルはポケットの中をごそごそと探り、一枚の手紙を出した。

「君の好むものは高かったので、あまりお金のない私にはこれぐらいしか用意できなかったよ。すまない」

シーラはそれを受け取るとまじまじと嬉しそうに見ていた。それは高級そうな紙にの封蝋がしてあり、その上にはエイリルの手作りであろう印璽が刻印されていた。すこし金が入っているのかそれは暖炉の炎に照らされて爛々と輝いた。

「いや、これは私が一番ほしかったものかもしれないよ?」

くすぐったそうに笑うと、シーラはその手紙をもう一度かざしたり、紙の手触りを楽しんだりしている。

「この紙、郵便局からくすねてきたね?」

「別に一枚ぐらい、普段の働きの報酬としてはおつりがくるさ」

エイリルはいたずらがばれた子供のような表情をすると、楽しげにに話す。

「君ってやつは……」

困ったようにつぶやくシーラだったがその言葉とは裏腹に表情は穏やかなものであった。

それを見てエイリルは得意げそうににやついた。

「じゃあ、こんどは君の番だ。君は私に何をくれるのかね?」

おどけた調子でシーラに訊くエイリル。その薄茶色の綺麗な目は期待に光り輝いていた。

シーラは手紙を丁寧にテーブルに置くと、ソファの下から、赤と緑のリボンでラッピングがされた中ぐらいの袋を取り出した。

「私からはこれだよ。たぶん、気に入ると思う」

「やけに自信たっぷりだね。楽しみだ」

差し出されたその袋を受け取るとエイリルは綺麗に結ばれたリボンたちを慎重にかつ、速やかに解くと袋の中に右手を入れた。

その手には何かふわふわと軟らかな毛糸らしき感触があり、引っ張り出してみるとそれは赤い毛糸のマフラーと手袋だった。

「これは……」

「どうだい?気に入ったかい?」

「……高かったんじゃないのかい?」

エイリルは小さく、しかしはっきりとつぶやいた。

そんなエイリルを見てシーラは噴き出すと、からからと笑いながら話す。

「何か勘違いしているようだけどそれは私の手編みだよ。完全な手作りだ。心配するなお金は全然かかってない」

「なんだか貰いすぎな気がするよ」

エイリルは自分の手に握られているマフラーと、テーブルの上に置かれている自身の手紙を見比べる。

「君は手書きの手紙。私は手作りのマフラーと手袋。どちらも手作りだし、ちゃんと心は込められているのだろう?」

確かめるように見るシーラの目から、気恥ずかしさで目を反らすエイリルだがしっかりと頷く。

それを見てシーラも恥ずかしそうに顔をほころばせる。

「なら、私は十分だよ。ありがとう、エイリル」

エイリルは暖炉の火以外の熱さを頬に感じ、シーラに顔を向けることができずにその炎を見ながら、「こっちこそありがと」と小さな声で言った。

ふふ、とシーラが嬉しさでほほを緩ませる。

「地球では」

シーラの言葉にエイリルは暖炉の炎を見るのをやめて顔を振り向かせる。

「地球ではクリスマスの夜に『サンタ』という人がプレゼントを配ってまわったそうだ」

へぇ、とエイリルが相槌を打ちながら、チュロスを口に運ぶ。

「ちょうどあの袋みたいな白い大きな袋にプレゼントを入れてね」

窓の近くにエイリルが置いた配達用の大きな袋を指さしてシーラが言った。

「そのサンタっていうやつは慈善事業マニアだったりしたのか?」

「さあ?色々な文献を見ると民間会社だったとか、それに世界中の父親が勤めていたとか、実は誰でもなれるとか、どうやらある特定の人物を指すわけではないらしい。いずれにしても対価としてのお金は貰っていなかったようだね」

「うへぇ……。私には考えられないね。仕事にはそれ相応の報酬が支払われるべきだよ」

エイリルは顔をしかめる。

「だから」

一息ついて、エイリルはシーラのその紫色の目をまっすぐ見つめると続けた。

「サンタを演じるのは君にだけで十分だ」

そう言うと純粋無垢な笑顔を向けた。シーラは突然のことに一瞬驚いた顔をしたがすぐに温かい笑みを返す。

「ああ、そうかい」

エイリルはシーラが柄にもなく照れていることを察してにやにやと笑う。シーラは耳が熱くなるのを感じた。

「さてと、もうそろそろ私は仕事に戻るよ。あれは一応、今日中に運ばなきゃならないからね」

立ち上がって体を思いっきり伸ばすと、エイリルは自分の外套と貰ったばかりのマフラーと手袋をつけるとシーラに向き直った。

「どうだい?似合う?」

シーラはじっくりとその姿を見ると満足そうな顔をした。

「ああ、ばっちりだ。君の赤毛によく似合う」

「そうだろう。君はセンスがいいからな」

嬉しそうにエイリルは話すと、窓の近くの袋を拾って、機械箒の操縦席の後ろにぐるぐると備え付けの紐で結び付けた。

窓を開け、エイリルは外に出た。シーラは窓の外に出たエイリルを見上げる。窓からは少し雪が入り込み、それは床に落ちると溶けていく。

「それじゃあ、またな。今度はホットチョコレートのお礼に、いい紅茶を出すカフェに連れて行ってやろう」

「ああ、楽しみにしているよ」

シーラは外から吹き込む風に身を縮ませながら言った。

「君は私の手紙を読みながら温かくして寝るといいさ。……それではな、私の親愛なる友人」

「ああ、にやにやしながら読むとしよう。そちらこそかぜには気を付けるんだぞ、私のサンタさん」

そういうと勝ち誇ったようにエイリルに笑いかける。それに目を大きくしたエイリルだったが機械箒の静かなエンジン音とともに柔らかい笑みを残すと雪が降る街に消えていった。

エイリルは先ほどのシーラの言葉を反芻すると同時にあることを考えていた。

私はシーラのサンタになったが、きっと誰もが誰かのサンタなのであろう。この重い手紙たちはそんなサンタたちの贈り物なのかもしれない。

そう考えると、エイリルは先ほどまで退屈だったこの郵便配達も楽しく感じれるような気がした。

それに、このマフラーに手袋だ。今の私は無敵だ。

エイリルはその温かさを感じるとともに、胸の奥のかすかな温かさを感じていた。

雪がしんしんと降っている。まだ配達は終わりそうにない。

サンドリア156年23月78日。地球歴で言えば4039年12月24日、クリスマスイブの出来事である。


というわけで、どうでしたでしょうか?(面白くなかった?ごめんね!)

正直、アニメ布教のほうが良かったような気もするけど、まあいいや。

クリスマス、皆さん何がほしいですか?

僕は現金がほしいです。

クリスマスまであと24日!

最後まで見ていただいてありがとうございます。

くラゲでした。

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